エジプトに化石を求めて 

   ナイルの地質

 ナイルは最初から今日見るようなコ-スで流れていたのではなかった。アスワン・ハイダムの建設によって水没するヌビア遺跡を救済するための1960年代の「ヌビア遺跡救済運動」期間中、遺跡の移築という仕事のほかに、ナイル自体の地質的調査も行われました。ナイル自体の歴史についてくわしく分かるようになったのは、こういう研究の結果です。

1.石灰岩。カイロから上エジプトのエスナに至る全域にあります。カイロに近いツ-ラの石灰岩はその質のよさで有名です。石灰岩はピラミッドの主要石材です。

2.砂岩。カイロからアスワンまでの全域、およびヌビアのカラブシャからワデイハルフャ(エジプト・ス-ダンの国境)までの地域にあります。

3.花崗岩。エジプト全土にみられますが、とくにアスワンに豊富にあります。シナイ半島と東側砂漠にもあります。変わった色調の赤色花崗岩と呼ばれるものは、上エジプトのコプトスと紅海の港コセイルの間に産出しました。

4.アラバスタ-。日本語で「雪花石膏」と記されることもありますが、最近ではアラバスタ-で通用するようになっています。ツタンカ-メンの宝物にアラバスタ-製の工芸品が多いので、アラバスタ-の名が一般化したのかもしれません。カイロからスエズに至る砂漠、中エジプトのアシウト付近、エル・アマルナ付近、上エジプトのルクソ-ル付近でアラバスタ-は出ています。

5.玄武岩。ピラミッド下層材、神殿建築材、彫刻材として用いられました。この石はエジプト全土に広く産出します。ギザの北、アブロアシュからサッカラにかけての地帯はとくに玄武岩の産地です。

6.珪岩。カイロの北のゲペル・アフマルに、カイロとスエズの間の地域に、またアスワンとシナイ半島に、豊富にあります。

7.閃緑岩、片岩、大理石、蛇石、角礫岩、石鹸岩、孔雀石、トルコ石など

                    

                                      現代教養文庫 古代エジプトの謎より

 アメリカのエジプト地質学ホ-ムペ-ジの1つ(リンク)

        http://www.egsma.gov.eg/web/egsma.htm

  

      エジプトの化石

 文献によれば、ピラミッド周辺遺跡は古第三紀始新世の砂岩で形成されている。ギザ、サッカラで貨幣石、新王国時代のルクソ-ルで貝化石を産出するとの報告がある。

ピラミッドも石灰岩で作られているため化石が見つかるはずです。

    ピラミッド周辺      ダハシュ-ル・サッカラ    王家の谷・ルクソ-ル東岸

    アスワン      アブシンベル     バハレイヤ・オアシス


   ピラミッド付近の化石「貨幣石」について

「貨幣石」とは

個体の形状がコインに似ていることから「貨幣石」と呼ばれている。

原生動物の一種、単細胞生物で、石灰岩の中の紡錘虫と共に複雑な内部構造を持つ。

貨幣石の仲間は現在も熱帯地方に生息するから、当時も暖かい海に住んでいたと思われる。古第三記(今から6500万年〜2500万年前)に世界中で栄えたがこの時代の終わりに衰えてしまった。

この地域は砂岩質石灰岩であり、貨幣石を多く含む。

今回は(観光が主で、化石調査はほとんどしませんでした)。

   ギザピラミッド周辺

    クフ王ピラミッド東側床面            床に密集した貨幣石

                

   
   クフ王太陽の船付近

   
           

     
     カフラ−王参道付近

      二枚貝化石写真       貨幣石

    


   サッカラ ・ ダハシュ−ルの化石

 ダハシュ-ルはギザのピラミッドの南にあり、造られた年代も少し古い。この地には赤のピラミッドと屈折ピラミッドがある。この屈折ピラミッドの下部西側の転石よりりっぱな二枚貝が採集されました。また、赤のピラミッドの入り口の積み石からは多くのカキの化石が転がっていますのでぜひ見て来てください。

   

        
 サッカラのジョセル王・ウナス王のピラミッド周辺からは化石は見つかりませんでした


   ジョセル王ピラミッド周辺     ウナス王ピラミッド石灰岩

                 

    
   赤のピラミッド

      
カキの化石        巻貝と二枚貝の化石密集(ツリテラなど)  


                  



  屈折ピラミッド       二枚貝化石



                  

        

     メイドウムのくずれピラミッドは行っていません

     ルクソ−ル西(王家の谷)

 少年時代に死に盗掘の被害を受けなかった有名なツタンカ-メン王の墳墓の入り口付近監視員の右側壁に二枚貝の化石の報告があるが、今度の巡検では発見で来ませんでした。しかし数年前に王家の谷の転石から二枚貝の化石を発見したことがある。注意深く壁面や転石を観察すると化石が見つかると思われます。また、このあたりはたぶん貨幣石は含まれていないと考えられます。

      ラムセス7世横の二枚貝        ツタンカ−メン監視員横

       
                   

  * 王家の谷、料金所の右側ラムセス2世の入り口付近の壁に2枚貝を含んだ石がありますが。

  * ルクソ-ル西岸のハトシェプスト女王・メナムの巨像・クルナ村周辺の遺跡からは化石は見つかりませんでした。

  * ルクソ-ル東岸のカルナック・ルクソ-ル神殿からも化石は見つかりませんでした。

  * 王家の谷の山の上からも化石らしいものは見つかりませんでした。


  アスワンの切りかけのオベリスク周辺は
           花崗岩なので化石は含まれない。

            

 

 アブシンベル周辺も化石は見つからなかった。

                  


   
バハレイヤ・オアシス    黒砂漠             クリスタル山  白砂漠

    
くらげの化石   フラワー石・貝化石(?) 玄武岩   方解石    石灰岩

        


 2005年4月

エジプト・アメリカ調査団により、エジプト砂漠にて異例のクジラの化石の発見


メリカの古生物学者とエジプト人のチームは、エジプトの西部の砂漠で、古代クジラ、バシロザウルスのほとんど完全な化石化した骨格を発見したと、大学のスポークスマンが語りました。 ミシガン大学のフィリップ・ギンゲリッチ(Philip Gingerich)教授は、カイロの南西、ワディ・アル・ヒタン(別名 クジラ渓谷) Wadi Hitan(Valley of the Whales)として知られている砂漠谷で、およそ4000万年前の保存状態が良い骨格を発掘したと、スポークスマンのカール・ベイツ氏は、はロイターに伝えました。 「彼の感想では、それは、頭から足まで全身の骨格は、ほとんど完全である。」と、ベイツ氏は語っています。この長さ18メートルの骨格は、ワディ・アル・ヒタンに、何故、クジラやその他古代海洋動物の化石が非常に多く遺されているのか、また、消滅した動物が、どのように泳いでいたのかの疑問に曙光を与えるかもしれません。バシロザウルスは、陸生哺乳動物から進化し、その後、2種類の現代クジラに進化したムカシクジラ亜目(archaeocetes)として知られている原始のクジラの一つです。
しかし、それは巨大な海蛇のようであり、最初にムカシクジラ亜目(archaeocetes)を発見した古代生物学者は、それらが爬虫類ではないかと考えました。 現代のクジラは、上下運動によって泳ぐのに対して、魚類は、左右の動きで泳ぎます。「研究チームは、この新しい化石を、どのように生きて、泳いだかの研究や、可能であれば、何故、ワディ・アル・ヒタンに、これほど豊富であったかを学ぶことに役立てるであろう。」とギンゲリッチ教授は、声明として述べました。声明では、「骨格は、保存と複製の為に、ミシガンに持って行く。 そして、原物は、その後、展示する為に、エジプトに戻るであろう。」と語っています。
ワディ・アル・ヒタンは、後に海底となった砂岩層に閉じ込められ、その時代からの化石化した遺物が、珍しく豊富です。 化石には、5種のクジラ、3種の海牛、2種のワニ、数種の亀、海蛇、そして、多くの化石化した骨の多い魚やサメを含まれています。 そこは、イタリアとエジプトの共同プログラムとして、国立公園として開発された保護地域であり、その自然の美しさと科学的重要性の為に、2005年に、ユネスコ世界遺産に登録されました

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エジプトで新種の恐竜の化石を発見

20181月、エジプトのマンスーラ大学のチームによって、エジプトのサハラ砂漠で新種の恐竜の化石が発見されたと発表されました。この恐竜は約8000万年前、すなわち白亜紀に生息していたと考えられます。 身長は約10メートル、体重は5トン前後の草食恐竜で、アフリカゾウと同じぐらいです。また、世界で巨大な動物として知られている竜脚類恐竜、「ティタノサウルス」の一種とみられています。

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新種の古代ナマズを発見、エジプト・クジラの谷

2017年3月15日

エジプトの砂漠で太古のナマズの化石が発見され、新種と判明した。ナマズは魚の中でもわかりやすい姿かたちだが、新種の化石はその進化の歴史に新たなヒントを与えてくれる。
今回のナマズ化石は、カイロの南西ワディ・アル=ヒタンという砂漠地帯で発掘され、
Qarmoutus hitanensisという学名が与えられた。およそ3700万年前に生息したと見られている。

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